富塚協働センターに行ってきました
野嶋京登さん(富塚協働センター@静岡県浜松市)
今日はよろしくお願いします。この連載でもご紹介した移動式屋台型の「パーラー公民館」をすすめる宮城さんから、「浜松市でパーラー公民館を実践している人がいる!実際にやってみる人は少ないので!」と聞きまして、ぜひご本人にお話をお聞きしてみたいということで、お時間を頂戴しました。検索してもいろいろな記事がみれましたが、今日はできるだけ深堀りしていきたいと思います。
ぜひぜひ、どうぞよろしくお願いします。
浜松から沖縄へ、公民館同士の交流から
私は、浜松市の職員で、富塚協働センターではコミュニティ担当職員という肩書きを持っています。
え、コミュニティ担当職員というポジションがあるんですね。ちょっと驚きました。
おおよそ10年前から設立された役職で、役所では「コミ担」という略称があるくらい馴染んでいますよ。コミ担の役割は地域課題の解決や地域の魅力発信です。そのようなコミ担向けの研修事業として、全国の先進的な取り組みをしているところへ派遣される事業があるのですが、その先が宮城さんの若狭公民館でした。それがパーラー公民館との出会いでした。
パーラー公民館に参加されてどうでしたか?
「何をやるの?」と聞いたら「何もしない」と。最初は驚いたんですが、始まる前から子供たちも大人も集まって楽しんでいるのがとても印象的でした。それに、ちょっと変わった活動だなとも思ったんですが、よくよく考えるとごく自然な人の集まり方だなとも感じました。というのも、私は釣りが好きなんですが、釣り人同士、釣りをしながら会話が生まれるんですよね。まさにそのような感じでパーラー公民館も会話や活動が生まれていく。そういう状況が地域にあるって、とても大切ですよね。
案外、そういう自然なコミュニケーションって無理にしかけても生まれませんもんね。だからこそ「何もしない」けど、場を一緒につくっていくという。
そうですね。それで、地元の方々に沖縄での話をしたところ、「一緒にやりましょう」と言われたんです。なので、浜松版パーラー公民館「あおぞら協働センター」も地域の方々との会話のなかで生まれていきました。また、最近の子どもは外で遊ばない、幅広い世代交流が日常的にないといった声があったんです。そこで、令和元年11月に試行的に開催しました。
何もしないから、何かが生まれる
いざやってみてどうでした?
富塚協働センターから1キロくらい先の佐鳴湖公園であおぞら協働センターをやっているのですが、子どもたちもそうですが、地域住民が集まる機会になっています。コミ担として、施設の中に閉じこもっていてもしょうがないので、こうやって外に出ていくことで、いろんな方に顔を覚えて頂ける機会にもなっています。
やっぱり顔を覚えてもらうことは大切ですか?
それはもう、顔見知りにならないことには、ちょっとした相談事もされずらいですからね。地域のコミュニティのなかで、話しかけやすい存在でいることはとても大切なことだと思います。あおぞら協働センターをやっていると、いろいろと話しかけていただくことがあります。
いいですね。印象に残っているエピソードってありますか?
沖縄の宮城さんが言うように、「何もしない」けど「話を聞く」というところでは、何気なく声をかけてくださった方とお話をしていたら、マジシャンをやってらっしゃったことがわかったんです。それで、「ちょっとマジックをやってみましょうか」とおっしゃっていただけて、あおぞら協働センターがマジックショーのステージになりました。最初から「やること」を詰め込んでいたら、そういうことっておこらないですよね。何もしないと何かが生まれるエピソードだなと思いました。
そのほかにも後日、富塚恊働センターで開催した縁日を手伝ってくれたり、講師としてきていただいた方もいます。まだまだご紹介したいのですが・・・・すべては「出会い」だと思っています。
目的が練り込まれている
あおぞら協働センターの活動は継続されていくんですか?
新型コロナウィルス感染症予防の観点で活動を縮小している時期もありましたが、令和3年度は6月からはじまり、ここ五ヶ月でほぼ毎週のように開催していて、これまでで20回以上は続けてこれています。来年度も継続予定です。
え、雨の日は大丈夫なのでしょうか?
もちろん雨の日はセンターの施設内で開催するなどの対策も考えられますが、これまで天候が悪かったことは少ないんですよね。
「晴れ男」というやつですね。あおぞら協働センターで使う道具は、富塚協働センターに保管されているんですよね。それを公園まで運んでいるんですか?
そうです。ちなみに自治会から防災用の組み立て式のリヤカーをお借りして、運んでいます。そこに、あおぞら協働センターののぼりを立てて、運ぶわけですから目立ちますよね。
なんだろう!?って目を引きますね。
軽トラなどの車で運ぶのは簡単ですが、運ぶという移動そのものも目的の1つにしているんです。活動を知って頂くきっかけにもなりますし、自治会の方からは「防災用のリヤカーをこれだけ使っているんだから、いざというときの練習になるな」なんて言われたこともあります。イベントとしての防災訓練も大切ですけども、同時に普段の活動が防災に役立っているというのも大切ですよね。
移りゆく時代、方法は変わっていってもよい
一見、突飛な活動にもみえてくるかと思うんですが、富塚協働センターのなかで反対意見はなかったんですか?
そもそものところの趣旨などをちゃんと押さえていれば、職員はもちろん、地域のみなさんをとても応援してくれます。
おお、素敵。野嶋さんって、地域のためにというところもありますが、ご自身も楽しんでいらっしゃる様子が伝ってきて、ワクワクしますね。
パーソナリティを出せるのは、協働センターの仕事くらいかもですね。でも地域の方々のニーズも個別的で多様化しているわけですから、こちらもそれに応じて個性的だったり、多様であったりしても良いのではとも思います。
いいですね。行政職員は異動がつきものだとも思います。もし、野嶋さんが異動することになったら、あおぞら協働センターにどうなって欲しいというイメージはありますか?
極端な話をすれば、無理に続ける必要はないんです。これだけ世の中も不安定ですし、もちろんコミ担のパーソナリティもまちまち。あくまでもあおぞら協働センターはいくつかある方法のなかの1つだと思うので、その時の担当や地域の方々の想いのなかで、形を変えていって然るべきです。ただ、楽しむ時間を共有するということは地域づくりやコミュニティの原点だと思いますので、そのような景色はこれからも生まれていって欲しいですね。
それにしても野嶋さんって、あおぞら協働センターに関わらず、いろんな活動をされていらっしゃいますよね。ゴミ拾いをしながらジョギングをするという「プロキング」や「ごみゼロフェスタ」の話もお聞きしたかったのですが。
地域の人との何気ない会話の中から、いろんな活動が生まれていっているんです。ぜひまたの機会に。
ありがとうございます。ぜひぜひ、よろしくお願いします!