公民館のしあさって
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「公民館に行ってきました!」シリーズ番外編-後編

「公民館に行ってきました!」シリーズ番外編-後編

青木由行さん

1986年建設省(現在の国土交通省)に入省し、国土交通省、内閣府、復興庁、宮崎県、鳥取県等でまちづくり、道路行政、地域活性化、建設業、不動産・土地政策等を担当し、2022年6月に退官。2022年10月より(一財)不動産適正取引推進機構理事長。あわせて筑波大学スマートウエルネスシティ政策開発研究センターアドバイザーも務め、まちづくりに関する活動も行っている。


人間が見えてこないまちづくりって、やっぱり、つまんない!

-お聞きしていて、もう1つ、おもしろいなーと思っていたことがあります。それは、活動とかアクティビティと呼ばれるようなソフトと建築とか空間デザインと呼ばれるハードのバランスです。

建物先行でデザインが進んでしまうと、必ずしもコーディネーターとか社会教育主事とか、そういう方々追いついてない部分もあって、建築はすごいカッコいいけど、アクティビティがいまいちになりがちだったり、逆もしかりで、ソフトはめちゃめちゃがんばっているけど、ハードは超残念みたいなことがあったりします。

うんうんうん。でも、ハードのデザインもウォーカブルとか居心地の良さのようなことをまちづくりの人がいうようになったのも、わりと最近なんですよ。けっこう残念な建物や空間をいっぱいつくってきてるんです。ぼくも1階部分がだいじだ!なんていいだしたのは、、、、

恥ずかしながら、昔はちっともそんなこと考えたこともなかったですもん(笑 駐車場が建物の前面に主役みたいにドカーーンとあるとアカン!っていうのも最近考えはじめたことなんです。

ただ、多くの人たちがなにやらそこいらへんのことに気づきはじめてるのも間違いないと思うんですよ。だから、なんとなく芝生って増えてるような気がしますし、ベンチとかも増えてるような気がします。こういうのをやったらキモチいいんだなということが実際に見るとわかるじゃないですか。

-そうかもしれないですね!

ただね、不思議なんだけど、設計コンサルの人たちって個人ではそういうことをすごくやる人とか考える人って出てきてるんだけど、会社のおしごとでやるとね、今どきなんでこんな設計するかね?っていうようなのをつくっちゃうことって、けっこうあるんです(笑

-いやーーー、わかりますわかります(笑

なんでやろうなーって、思いますね。まぁ、十分な経費をもらえていないっていう言い訳もあるらしいですけど(笑

-お金の問題はもちろんあると思うんですけど、それよりも、六本木で展覧会を開くにあたって、ちょうどデザインの問題と社会教育の問題を両方からアプローチしていったときに、しあさってどんなんだろう?って考えなくちゃいけなかったんですね。

あー、なるほどー

-デザインについて、いろいろのみなさんとディスカッションをさせていただいて、やっぱりそのおっしゃってるところの問題って、べつにゼネラルコントラクターだけが悪いわけじゃないんですけど、設計の手前の部分にあるディスカッションに経済合理性から考えて、あんまり付き合わないんですよね。

なので、公民館を建てるときに、貸部屋が何部屋でお手洗いがいくつ必要でだいたい収容人数がこれぐらいでっていうところをあらかじめそちらで整理をしてから、打ち合わせに臨みましょう!っていうふうになりがちなんです。それらの条件を前提としたプログラムを設計的に解いていくと、こういう風になるっていうのが、、、、

極端な話ね、公的な施設って、芸術家気取りの建築屋さんがヘンテコりんなものをつくるか、経済合理性のみでギチギチにつくるかっていうことだったんですよ。ぼくがそう思ってるだけかもしれないんだけど、やっぱりなんていうのかな?人間がもともともってる特性というか、いやなもの、すきなもの、心地よいものってね、ゼッタイぼくはあると思ってて。

それがさっきいったヒューマンスケールのまちのほうがいいとか、それから1階が透明の方がたのしいとか。人は人が好きですからね。やっぱり、人間を見るのが好きなんですよ。だから、その人間が見れない建物って、やっぱりつまんないんですよね!

公民館だって同じようなセンスで変われるはずだとぼくは思っているんですよ。

-先ほど触れていただいた書籍でも、ツバメアーキテクツにああいうカタチで入ってもらうって、じつは本を出版するってことが決まったときに想定してなかったことなんです(笑

あ、そうだったんですか?

-それはいいとして、なんであんなのを入れようって決まったかというと、既存の公民館でもちょっとした 空間的な工夫でできることがあるんじゃなかろうかってことだったんです。そんなのを絵とき的にまとめていこうって、途中で決まってしまって(笑 じゃあ、突き詰めたら館長という札だけぶら下げておけば、もうそこは公民館です!みたいなことになりました。まち全体が公民館みたいなのだって可能なんじゃないか?、その幅の中でこういろんなことをツバメなりに提案してくれたのものがあれですね。なので、活動やアクティビティのデザインと空間的建物的デザインの両方がバランスとしてだいじなんだと思います。


いまの時代だからこそ、公共がもつべき覚悟がある

ぼくは国土交通省だったので、ハードばかりつくってソフト軽視みたいなこと いわれがちな役所だったんですね、、、それは甘んじて受けなきゃいけない批判かなと思ったりもするんです。でもね、さっき小泉政権時代の悪口いいましたけど、あの時期って、公民館のみならずなんですけど、とにかく公共がどんどん維持管理経費が出せなくなったんです。 だから、公園にしても河川敷にしてもすごく荒れました。草木が生い茂って物騒な公園って増えたんです。そうするとね、やっぱり公園が残念になるだけじゃなくて、公園のまわりも残念になってくるんですよ。

税金の無駄遣いはもちろんダメなんだけど、ハードにも投資をして、そのことによって地域の価値が上がって、固定資産税が上がって税収が増えるっていうのが理想です。公共が手抜いたら、地域アカンようになるでしょ?っていうことも考えてほしいですよね。地域をよくするためには一定お金をかけることが必要で、そこは公共には覚悟してほしいっていう気持が正直、ぼくにはあるんです。

-覚悟ですね、必要なのは。

新しくつくる、やたらと壊して建て替えるだけが能じゃないっていうのはおっしゃるとおりですよ。でも、リノベーションという投資もあるし、リノベの技術はいまどきスゴいんで、たいがいのものを魅力的にできます。

-公共のもつべき覚悟という文脈で思い出したんですけど、展覧会で気づいたことがあってですね。さきほどもお伝えしたとおり、自治公民館と呼ばれている公民館は、社会インフラとして70,000館ほど現状も存在してるんです。ちょっと話はとぶんですけれども、日本が明治になって町村制になったときに、自治体の数っていうのが70,000団体ちょっとあったんですね。

そうそう、今と比べるとめちゃくちゃ多いんですよね。だいたい小学校の数ぐらいありましたよね。

-はい。で、偶然かもしれないですが、自治公民館の数と当初の自治体の団体数がおんなじぐらいなんです。これ、社会インフラとしてはいけるなと思ってきていてですね。そっから、建物のデザインとアクティビティや活動のデザインというのが関係してくるんですが、社会インフラとしての 自治公民館にはアクティビティや活動がうまくデザインされていないので、そこが機能してくるととってもおもしろくなるんじゃないかと、いまとある提案をしてるところです(笑

いやー、おもしろいですよねー

そういう意味で、小学校区ぐらいになにかそういうよい場所ができると地域変わるやろーなって、ホント思うんです。じぶんの近所にないし、あったらいいなと思ってる人、ゼッタイ多いと思うんですよ。ひょっとしたら小学校でもいいかもしれないですよね。

-小学校自体でも、アリですね。

いずれにしても、アクティブな公民館が全体の1割ぐらいって、なかなかショッキングな数字ではありますね。 ぼくも最近、じぶんが公民館にハマってるっていうのも告白しながら、いろんな人に公民館のことを聞いてるんですけど、多くの人が一部の趣味のサークルの活動場所だとか無機質な貸館だとか、ほぼ同じことをいうのはやっぱり残念。残念ですね。

-ホント、そうです。

やっぱり行ったことないっていう人がほとんどなんで、これはいかんよなーって思います。

公民館勉強させていただいてね、戦後すぐに寺中さんでしたっけ?通牒だされたときって戦後焼け野原から公民館がスタートしたんでしょうけど、そのころは農村振興みたいなテーマがあってねー。その後、農村から都市への人口移動があったりと、都度都度、時代時代で公民館のコンセプトっていうのは、いろいろ議論されて、少しずつ変えてきてらっしゃるわけじゃないですか。

-そうですそうです。バージョンアップしきれなかった公民館もありますが、、、


超高齢化社会の中で模索すべき公民館像

これから人口が減ってくる。それから寿命が延びる。健康寿命が長いのはいいことですよね。それで独居が増える。やっぱりそれに合うような公民館をつくっていくべきなんじゃないかと、最近すごく思ってるんです。じぶんの居場所と、それからなんらかの役割みたいなものっていうのがまわっていくような仕組みっていうのがぜったいあったほうがいいと思うんですね。

だから、どうしたらいいかいろいろ考えるんですけど、とりあえずイケてる市長さんとかに公民館の重要性に気づいてほしいなぁーと思いますね!

-いやでも、今日お話うかがっていて、もう青木さんはそのへんの公民館に座っている主事さんたちより、公民館の歴史にくわしいですよね(笑

いや、そんなことないです。頭でっかちですし、、、、(笑

-文部省の寺中作雄さんとかが、戦後のどういう状況下で公民館とか社会教育っていうのを広げてきたのかって、ど真ん中の人たちでも、なかなかサクっとはでてこないですよ。そういう意味で、引き続き、ウォーカブルなまちづくり戦略とともに公民館公民館いっていただけると非常にありがたいです!!!!

ぼくが関わっている界隈に、けっこうイケてる首長さんがきてくれるので、まずはその首長さんたちに、いやがられても公民館の話をしまくろーかなと思ってますよ!それにしても、小学校区になにか1つ、そういうスペースがあるっていうのはすごーく意味があると思うんだけどねー

-そこはなにがなんでも、実現していきたいと思ってます!!!


外野から社会教育に熱い眼差しを注ぐ公民館応援団

ちょっと乱暴な言い方だけど、社会教育主事さんのイメージをぼくは正直、まだ全然わかってないわけですよ。仕事の内容もくわしくは存じ上げませんし。ただ、ファシリテーターみたいなスキルとかが、これからは必要な気がするんです。ちょっと失礼かもしれないけど、そこんとこの機能をうまく果たしてもらうっていう発想ってないのかなって思うんですよね。教育委員会としては社会教育っていうミッションがあるから、地域のつながりづくりみたいなところまではできないという感覚がやっぱりあるんでしょうかね。

-もはや、文部科学省の中でも社会教育課がなくなりましたし、社会教育という概念自体がどれだけちゃんと踏襲されてるかっていうのは、なかなか??なところもあるんですけれども、混沌とした時代だからこそ、そのあたりを税金で下支えしていくということは、必須のことだと思っています。で、地域全体のつながりづくりみたいなところの活動を活発化させていくってことこそ、積極的に担っていかなくちゃいけないですし、そこが本来的な社会教育であり、公民館ですね。

やっぱり、もったいないなぁーっていうのが正直なところですね。

これだけのインフラがあるんだから、ちょっとアジャストしてあげられたら、たいしてお金かけなくてもさっきいったようなちょっとしたデザインとか、広場にベンチやウッドデッキを置くとか、ちょっとの工夫でいろんな人がフラっと立ち寄れる場所になる可能性あると思うんですね。地域の人がそこに関わって支えてくれるっていう仕組みがつくれると、みんなじぶんがやれることっていうのが見つかるわけで、そんなのがみんなゼッタイにうれしいはずですよ。

そんなことが公民館ではできるような気がするんだけどなぁー!!!

-いやいや、業界への叱咤激励も含めて、ホントにありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました!チョー初心者のぼくがこんなエラそうにしゃべっていいんですか??(笑

-なにも問題ありません。もう、青木さんは公民館応援団ですから(笑

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#まちづくり #ウォーカブル #公民館のしあさって